お墓の話は今から考えておきたい!

今から考えておきたい、お墓の話

亡くなった人は、お墓にはいないのですか?

私のお墓の前で
泣かないでください
そこに私はいません
眠ってなんかいません

こちらは、Do not stand at my grave and weepの英文に、小説家である新井満氏が訳詩をされ、
ご本人が作曲をされた『千の風になって』の歌詞の一例でです。

大切な人を亡くした人の心に響く曲として、世界的な社会現象にもなりました。
日本では、歌手の秋川雅史氏が2006年の紅白歌合戦で歌唱するなど、大きな話題となりました。

個人的な話で恐縮ですが、当時、父が危篤状態でした。
2006年の紅白歌合戦で、ちょうどこの『千の風になって』の歌唱中に、父が入院していた病院から呼び出しの連絡が入り、弟とともに病院に向かいました。
人生で初めて、病院で年越しをすることとなりました。
結局、年が明けて1月3日に父は亡くなりましたが、10年以上経った今でも、この曲を聴くたびに、当時の記憶が鮮明によみがえります。

『千の風になって』のヒット以降、「亡くなった人は、お墓にはいないのですか?
という質問をされて、困惑するお坊さんが少なくないそうです。
ひと口に仏教といっても、宗派によっても考え方が違い、またそれぞれの僧侶によっても、考え方は様々でしょう。
亡くなられた方は、四十九日後来世に行かれるので、お墓にはいないという考え方をするならば、なぜお墓参りが必要なのかと疑問に思う人が出てくるかもしれません。
亡くなった人の遺骨がおさめられているのだから、そこにいるという考えもあるでしょう。

亡くなった人がそこにいるかどうか、どちらが正しいのかという議論をするよりも、お墓とは、何のためにあるのかを考えることが、現世に生きる私たちには必要なのではないでしょうか。
お線香お花を供えて手を合わせ、故人の冥福を祈り、残された家族をはじめ、故人と縁の深かった人が心を癒す場所として、お墓を建てるのだと考えるのが自然な気がします。

お墓参りに行けなくなったら、どうなる? どうすればいい?

近年は、ふるさと納税の返礼品にもあるなど、「お墓参り代行サービス」なるものが話題です。
代行サービスを利用するのは、お墓参りをしたいけれど、事情があってできない人。
お墓参りができないことに心苦しさを感じている人が利用しています。

  • お墓が遠方にある人
  • 子どもが小さいので行けない
  • 実家のお墓まで手が回らない
  • 高齢で足腰が悪くなった

など、人によって行けない理由は様々です。
しかし、行けないことを気にしているという点では共通しています。

なかなかお墓参りができない人に代わって、業者がお墓参りをしてくれる代行サービスでは、花を供え、写真を撮って報告してくれるだけでなく、丁寧に掃除をしてくれるサービスもあるようです。

また、核家族化少子高齢化によって家を継ぐことが難しくなっている現在、後を継ぐ人がいなくなり、いわゆる「無縁仏」となってしまっているお墓が増えてきています。
今の時代の無縁仏という意味は、お墓を継ぐ代の人が途絶えてしまうことになり管理出来なくなったお墓であるとか、それらのお墓に祀られた魂のことを意味します。
昔の宗教観では、供養がなされないと故人は長い間、地獄で苦しむことになると考えられてきました。

お墓を建てることなく、遺体の引き取り手が存在しなくなった故人は、無縁仏として処理されることになります。
また、お墓を継ぐ人が絶えてしまいますと、そちらのお墓は無縁仏というわけです。
それから、お墓を継ぐ人が見られた場合でも、お墓参りなどの管理が実施されずに、ありのままに放置されると無縁仏となると言えます。
その他にも、古いうことになり所有者が把握できなくなってしまいましたお墓も無縁仏というわけです。
このほかには、墓地に支払うことになるべきお墓の管理料が滞納された実情が一定期間続くと、無縁仏になります。
故人と何らかの縁を持つ人による管理が行われなくなった時、無縁仏となるわけですね。
無縁仏となってしまったお墓は、墓地の管理者によって処分されます。

「ねがはくは 花のもとにて 春死なむ」

では、無縁仏にしないためには、どうすれば良いのでしょうか。
一番よく知られているのが、お墓の代わりに納骨堂のある施設に遺骨を納め、縁者の代わりに施設を管理する寺院の僧侶が貴方が天国へ行けるまで供養を続けてもらう、「永代供養」と呼ばれる方法です。

永代供養では、一般的に33回忌までは法要を行い、その後共同墓地合葬されるのが普通です。
けれども、ひと度無縁仏と扱われてしまいますと、手抜かりなく供養をしていただけるとは限らず、初めから無縁仏をひとつにまとめて合葬するというようなケースもあるようです。

また、遠方にある古いお墓を片付けて、永代供養墓改葬することも可能です。

その他、納骨堂への埋葬や散骨なども、近年注目されています。
生存中に墓じまいを選択され、散骨をすることで、お墓が無縁仏になるのを避ける方法を選ばれる方も増えてきているようです。

散骨とは、遺体を火葬後に骨を粉末状にして、海など自然の中に遺骨を撒く供養方法です。
骨を非常に細かく砕かなければならなかったり、骨を撒く場所に注意をしないと、後々トラブルにもなりかねないため、専門家に依頼するのがスムーズで一般的です。

散骨では、新しくお墓を購入する費用がかからず、お墓を管理する必要もないため、近年選ぶ方が増えています。
ねがはくは
花のもとにて
春死なむ
その如月の
望月のころ

という、西行法師が詠んだ歌は大変有名です。

どれだけ願っても、人の死はいつどのような形で訪れるか、誰にもわかりません。
だからこそ、自分や大切な家族が亡くなった後のこと、お墓について、元気なうちにしっかりと考えておきたいものですね。